どこか特定の塾に入って勉強すると、他塾のことを考えるのはタブーという感覚になってくるかと思います。特に6年生秋からの直前期は「エイエイオー」の掛け声ならじとも、塾との一体感を感じながら過ごせる時期かと思います。この時期は、大手各塾で公開模試というものが催されます。ここでは、その公開模試をどのように利用していくべきか述べたいと思います。

そもそも、公開模試の役割というのは、これまで自塾内での自分の位置しかわからなかったのに対して他塾生も含めた受験生全体の自分の位置が分かることです。そこで、ほとんどの人からは合格力を高めるというよりは、「現実どの辺なら受かりそうか」という志望校の選択に利用されているようです。

志望校に受かるためというより、受かるかどうか知るために公開模試が存在しているのです。

私が親なら、合格力を高めるという目的で公開模試は考えたいと思います。合格力のためならば私はあえて「他塾の公開模擬試験を受ける」ということをおすすめします。

日能研であれば、サピックス(Sapix)やYT-netの試験を、サピックス(Sapix)生ならば日能研やYT-netの試験を、四谷大塚や早稲田アカデミー生ならあえてサピックス(Sapix)や日能研の公開模試を受けるのです。関西であれば、浜学園生は希学園の公開模試を、希学園の生徒は浜学園の公開模試を受けるべきだと考えるのです。

これは、違う作問者の問題に対する対応力のトレーニングになるからです。

実際の本試験は、当然塾の問題とは違う者が作問するのです。それに対して受験生は、自塾の問題漬けになっていて、「問題とはこういうものだ」的なその塾内でしか通用しない先入観に凝り固まっているのです。それでは、本番の試験のとき、内容は難しくないのにちょっとした用語や表現の違いでわからなくなるということが起きかねません。それが他塾の模試を受けると、用語や表現の違いによる対応の経験が付きますのでそういう危険が少なくなります。これが結構大きいと思うのです。

ただし公開模試は自塾のカリキュラム一環として受験が義務付けられている上、近年他塾の公開試験に日程をぶつけてくる傾向があって、なかなか思うように受験できないかもしれません。その場合でもこういう視点を持って、望まれることをおすすめします。