立体図形とは
三次元の空間的広がりをもつ図形で、平面図形と区別された概念で、空間図形ともいいます。
立体図形の難易度
中学受験の分野の中では最も難易度の高い分野の一つで、多くの塾や参考書等でも後半または最後の章として扱われることが多いです。
立体図形の問題のタイプ
その立体の体積・表面積・展開図・回転体・切断・影を求める問題など。また水を入れた容器に立体を入れる問題も立体図形に含まれる場合もあります。
立体図形を苦手にする原因
平面図形にさらに高さとして一次元増えることになるので、高度な思考が必要になる。形体や条件を複雑にできるので、難問を作りやすい。
セルフィン式 立体図形の攻略ポイントと攻略法
立体図形の問題は多くの人が「立体」で考えます。というだけで難解に感じられるかと思います。しかし意外な視点ですが立体図形は「平面」で考えることができるとウソのように簡単に解けるときがあります。
Ⅰ まず見る角度を変えて、平面で考える。
「立体図形って「平面」で考えることができるの?」と思われるかもしれませんが、基本は以下のような視点で平面図を書いていくことです。するとそれまで気がつかなかった正解に至るヒントを見つけ出すことができます。
- 上から見た図を書く!
- 正面(前)から見た図を書く!
- 横から見た図を書く!
- 展開図を書く!
Ⅱ 切断する問題がでたら、この見方で平面で考える!
① 切断後の表面積を聞く問題 1回切るごとの変化に着目せよ!
1辺5の立方体がある。1辺1の立方体をたくさん作るため、各辺5等分になるよう切断した。表面積の合計は切断前と比べてどれくらい大きくなるか?
解き方1 立体で考える解き方(一般的解法)
切断後の表面積の和=1辺1の正方形の面積✕6枚✕小立方体の個数(5✕5✕5=125個)
=1✕1✕6✕125
=750
切断前の表面積の和=5✕5✕6枚
=150
よって切断後の表面積の和-切断前の表面積の和=750-150=600
気がつけば簡単だから、この解法を教えられることが多い。
それだけに、もし気がつかなかったらやばいですね。
そう!だからヒラメキまかせではなく、ヒラメかなかったときに備えて準備するのが本当の準備。次に立体図形の大原則「詰まったら平面で考える」を利用した解法を教えるよ。
解き方2 平面で考える解き方 1回切るごとの変化に着目
1回切ると表面積はどれくらい変化すると思う?
そりゃ~、1回切ったのだから切断面の面積だけ増えるに決まってますよ!
それが違うんだな~!切断面の左右に立体が分かれるでしょ。それぞれに切断面分増えるから、切断面の面積☓2枚分表面積が増えるのよ!
なるほど!たしかに切断面☓2枚分増えてますね~!
そう。逆に2枚分増えるんだということさえわかれば、あとは楽勝!
では辺を5等分する場合、何回切ればよい~?
そりゃ、4回包丁入れればいいですよね~!
その通り!だから、縦に5等分・横に5等分・高さも5等分ということは縦に4回、横に4回、高さも4回、計12回切ることだ。
1回切ると切断面(5✕5=25)✕2枚増えるのだから、12回切れば5✕5✕2枚✕12回=600 増えると求めることができる。
ま、正直、解き方1でわかるので、こっちだけ知ってれば良くないですか?
この問題は、各辺全部等分されてまったく同じ立方体ができるという設定だから、解き方1が簡単に感じるんだよ。
次の問題を解き方1で解いてみな。等分じゃないだけで、内容的には難問ではないはずだけど。
1辺5の立方体がある。図のように縦・横・高さが3:2になるように立方体の面に平行に切断した。
表面積の合計は切断前と比べてどれくらい大きくなるか?
あれ、解き方1だとむっちゃ大変ですね。切断された8つの直方体、全部表面積出して足さなくちゃいけない!
そう、ちょっと設定変えられるだけですごく時間かかるしミスも多くなる。
解き方2で解いたらどうなるかな?
こっちでやると、むっちゃ簡単ですよ。だって、縦・横・高さどれも1回ずつ切るわけだから、3回切るわけですよね。で、1回切るごとに切断面2枚分増えるから、2枚☓3回=6枚分増えると考えればいいんですもんね!
ということで、本文は切断面1枚(5✕5=25)☓2枚☓3回=150 増えるというのが正解。
このように、1回毎の変化に目をつける考え方は様々な局面でつかえるし、応用範囲も広い!常にこういう戦略を用意しておけば、他者が崩れても自分は勝てる!
② 表面に色を付けて切断する問題 1層ごとスライス図を書いてみろ!
1辺5の立方体の表面を赤くぬり、図のように各辺5等分になるよう切断した。1辺1の立方体について次の問いに答えなさい。
(1) 赤くぬられていない立方体は何個か?
(2) 1面だけ赤くぬられている立方体は何個か?
(3) 2面赤くぬられている立方体は何個か?
(4) 3面赤くぬられている立方体は何個か?
解き方1 立体で考える解き方
(1) 赤くぬられていない立方体は、もとの立方体の中心部分なので3☓3☓3=27個
(2) 1面だけ赤くぬられている立方体は、もとの立方体の各面の中心部分なので、3☓3☓6面=54個
(3) 2面赤くぬられている立方体
2面ぬられる数になると、ちょっと難しいです!
もとの立方体の各辺に触れる立方体のうち、角にないものの数を数えれば良い。
となると、1辺にある5個の立方体のうち両端の2個を除いた3個が該当するから、3個✕12辺=36個ですかね。
正解!
(4) 3面赤くぬられている立方体は、もとの立方体の頂点にあるから8個が正解。
このように立体のまま考える方法だと、ぬられている面の数によって難易度が変わってくる。
だけど次に教える「平面で考える方法」だと、どの問題も同じレベル。(1)~(4)まで一気に解けてしまう!
解き方2 平面で考える解き方
このやり方は図のように立方体を水平にスライスして、各層ごとに数えていく方法。パターン覚えてしまえば、この手の問題は全問正解できる!
両端層(第1層と第5層)
中間層(第2・3・4層)
この色塗りパターンは絶対暗記!
(1) 赤くぬられていない立方体は「0(オレンジ)」のところを数えればよいから、(中間層のオレンジの9個)✕(中間層は2・3・4層の3層)=27個
(2) 1面だけ赤くぬられている立方体は「1(ブルー)」のところを数えればよいから、(両端層のブルーの9個)✕(両端層は1・5層の2層)+(中間層のブルーの12個)✕(中間層は2・3・4層の3層)=18+36=54個
(3) 2面赤くぬられている立方体の数も簡単!「2(緑)」のところを数えればよいから、(両端層の緑の12個)✕(両端層は1・5層の2層)+(中間層の緑の4個)✕(中間層は2・3・4層の3層)=24+12=36個
(4) 3面赤くぬられている立方体は「3(赤)」のところを数えればよいから、(両端層の赤の4個)✕(両端層は1・5層の2層)=8個
むっちゃ簡単!全問いただき~!
③ 1:1:2の三角形を切断する問題 暗記するだけで大差!この立体を覚えておけ!
図のように、1辺6の立方体があり、IとJは辺BF、BCの中点である。AIJを通る平面で切断された立体のうち、Bを含む立体について次の問いに答えなさい。
(1) この立体の表面積を求めなさい。
(2) 切断面である三角形AIJの面積を求めなさい。
解き方1 立体で考える解き方
この図形を立体でとらえると、底面が直角二等辺三角形の三角すいということがわかる。
そこでこの三角すいの各面の和を出せばよいとなるのだが、直角二等辺三角形の底面と直角三角形の側面2枚の計3面の面積は出せるものの、切断面の面積を出すことができないので、(1)から詰まってしまう。
解き方2 平面で考える解き方
展開図を書いてみる。というか、底面が直角二等辺三角形で縦:横:高さ1:1:2の三角すいは、はじめから展開図を覚えておく!
1:1:2の三角すいの展開図
図のような底面が直角二等辺三角形で、1:2の直角三角形2枚が側面となっている、縦:横:高さ=1:1:2の三角すいをここでは「1:1:2の三角すい」と呼ぶことにする。この三角すいの展開図は下図のように正方形になる。この展開図に立体を構成する面が全て含まれているから、表面積はこの正方形である。
本問の計算
(1)本問では1:1:2の三角すいの辺の比が3:3:6となっているので、展開図の正方形の一辺は6となる。したがって表面積は6☓6=36 である。
(2)下図のように表面積を構成する4つの面の面積比は、1:2:2:3である。このうち切断面は③に当たるので、(表面積の正方形=36)✕3/(1+2+2+3 )=13.5 となる。
表面積を構成する各面の面積比もわかるので暗記!
※ この面積比の求め方:1辺2の正方形と仮定して各直角三角形の面積を求め、全体の正方形からそれら3つの直角三角形を引くことで切断面に当たる中央の三角形の面積が出せる。これを比にすれば良い。
この展開図とその面積比は絶対暗記!