父親も母親も毎日自分のやるべき仕事に追われ、とても子供の勉強に構っていられないという家庭は多いことでしょう。本来なら子供の勉強はすべて塾に委ねたいというのが本音でしょう。しかしそれではなかなかうまくいかないということを、以前申し上げました。

大変なことを承知で申し上げると、親もできれば中学受験の勉強をしたほうが良いと思います。

全教科が難しければ、算数だけでも良いかと思います。なぜそれをおすすめするかと言えば、努力以上のものが返ってくると考えられるからです。

まず、勉強すると自分の子供の状態がより把握しやすくなります。どこにつまづいているのかな、という察しが的確になってきます。

次に、親が子供に教えることができます。親はすでに常識がありますから、常識というバックボーンがない子供が理解できないことをたやすく理解できる場合があります。わからない問題を教えられたら一番良いですが、それができなくても、わからない問題を一緒に考えてあげて、当てずっぽうながら解法の糸口を言ってあげられるかもしれません。それで、わからない問題が解決できる場合も出てくるでしょう。

さらに、親子関係が良くなり、協力関係がつくりやすくなります。親子関係の悪い家庭というのは、ひとくくりに「反抗期」という原因にもって行きがちですが、私の見立てでは「子供が親のことを馬鹿にしている」ところが多いような気がします。すなわち、口うるさいだけの親に対して「受験勉強のことをよく知らないくせに、偉そうなこと言うな」っていう気持ちがあるように思えるのです。

ところが親が勉強して、ある程度頼れる存在であることがわかれば、子供は親に対する態度が変わり積極的に相談に来るでしょう。そのような経緯で、親子のパートナーシップを組むことに成功し、受験をうまく乗り切った家庭を何件も見ています。

「塾の先生のように分かれ」とは言いません。初歩的な内容を理解するだけでも十分効果的です。