塾にいる以上、偏差値という数値が最も気になる値ではないかと思います。偏差値と一緒に、合格が予想される学校との相関表が与えられ、それをもってここは受かるとか受からないとか判断することができるからです。

気になって気になってしょうがない。学校と偏差値の相関表とにらめっこし、偏差値が1や2上下するだけで、「このままでは志望校に受からない」と悲観的になったり、ウキウキしたりと、その数字にいつもとらわれていないでしょうか?

長年受験を見てきた者からすれば、偏差値は合否の基準としてはそれほどあてになるものではないな、というのが正直な感想です。もちろん参考にはなるでしょうけど、特に6年生前までは、受かるかどうかという意味ではどうでも良い数字です。というのも、いま偏差値が高くても1ヶ月で急激に下がったというのはいくらでも転がっている話ですし、いま偏差値が低くともやり方次第で急激に上がることも経験しているからです。

つまり自分の経験からは、現在の偏差値がこうだからといって、将来ずっと続くとはあまり考えられないのです。

合否の基準として参考になるのは、むしろ6年秋以降です。それまでは、偏差値を目標の基準として扱ったほうが良いと思います。すなわち、今回のテストでは偏差値50だったから次は55を目指そうというふうに使うのです。

受験勉強は長丁場です。なかなかモチベーションを保ち続けることは容易ではありません。そこで偏差値を、いま受かる受からないということではなく、いまこの値だから次はここを目指そうという値に使うのです。励ましの材料に使ってくださいということです。