合格実績の次に、塾を選ぶ際多くの保護者が気にするものは、おそらく講師の質やシステムといったものであろう。
だがなかには、その塾に来ている生徒のレベルを気にする親がいる。
集団授業の唯一良い点は、ライバルとの競争ができることだ。
お互い切磋琢磨することによって、自分の子供のレベルは上がる。
そう考えるのだ。
生徒レベルで比較すると、
一番生徒の平均レベルが高いと思うのは、サピックスである。
これにサピックス以外の3社が続く。
(但しワセアカ以外の四谷大塚の準拠塾は概して大分生徒レベルが低いことが多い)。
この3社間の差はさほど違いは感じられない程度だが、
サピックスとこの3社グループとのの差は明確である。
ただし、同じ塾でも支店間に大きく差があることは明らかである。 例えば、サピックスの古くからある校舎と新設校では生徒レベルに格段の開きがあるし、 早稲田アカデミーでも一般教室と選りすぐりをあつめたWACとでは大分違うので注意が必要だ。
このような支店間の違いは脇において、話を塾生全体の平均レベルに戻す。
単純な親はここまで読むと、生徒レベルの一番高い塾がよいと考える。
だがちょっと待って欲しい。
システムと自分の子供の性質を見つめてからだ。
そもそも、サピックスと他の3塾とでは経営の仕方が違う。
端的に言えば生徒のターゲットが違うのだ。
サピックス以外の塾は門戸が広く、原則として「来るものは拒まず」とばかり入塾希望者はすべて許可する。
ところがサピックスはそうではない。
それは、前述した総生徒数が物語っている。
サピックスの総生徒数は、関東以外にある教室を除いた日能研の生徒数の約半数である。
ということは、極端な言い方だが、sapixという塾は、
日能研でいう下半分の生徒は初めから相手にせず、 上半分の優秀な生徒のみ入塾を許可し、
高い生徒レベルを極力維持していると見ることもできるのだ。
言ってみれば、日能研・四谷大塚・早稲アカが優秀な生徒からどうしようもないダメ生徒まで対応するデパートに対し、
サピックスはそこそこ優秀な生徒だけにターゲットを絞った専門店みたいなものなのである。
だから、生徒の平均レベルが違うのは当初から仕組まれた前提であり、当たり前のことなのである。
そのように考えを進めると、サピックスと他の3塾では同じ中学受験塾の範疇であっても、
サピックスは用途が違う塾なのだということが浮かび上がってこよう。
老舗の四谷大塚・日能研に対して後発のサピックスが躍進したもっとも大きな要因は、
私は「一定水準以上の生徒しか入塾させない」という割り切った経営戦略にあると考えている。
この経営戦略は、塾経営という視点に立つといろいろな利点があり、長期的な経営活動をする上では実はすごく理にかなっている。
経営学を研究されている方は、サピックスを研究対象にするとよいだろう。
だが、塾選びに悩む保護者の立場になってみると、この経営戦略が両刃の剣になっている。

